野上一路

 最近高齢者の間で自分史作りがブームになっているそうだ。私のサラリーマン人生には他人に語るべき物語はあまりない。どこにでもあるありふれた人生。このまま何も語らずにこの世におさらばしようと考えていた。

 しかし、人生なにがあるか分からない。先日65歳の誕生日を迎えた途端、脚立の3段目からバランスをくずして転落。左かかとを複雑骨折してしまった。全治6ヶ月だそうだ。

 これは何かの啓示?サラリーマンになる前はフリージャーナリストとして世界を駆け巡っていた。その時代に体験したこと、今起きている「嫌な◯◯」、「壊死する風景」。可愛い孫たちに遺すことも大事かもしれない。

これは時代とともに伴走する名も無きじじいのエンディングノートだ。